アナグマ飼育記 赤ちゃんの保護
2013 / 07 / 11 ( Thu )
「アナグマの赤ちゃんが捨てられている」
一報を聞いて、少し頭が混乱した。「野生動物を捨てる」ってなんだ?
何かのペットと間違えてるんじゃないか?

しかし駆けつけてみると、それは間違いなくアナグマだった。それも3頭の兄妹。
ダンボールをかぶせられて置かれていたという。

3頭のうち2頭はまだ目が開いていなかった。
狭い箱のなかでくっつけておけばおとなしいが、開けた場所に置いたり、3頭を
引き離すと途端に大声で鳴き出す。それは初めて聞く声だった。

トウキョウダルマガエルの声をキンキンにしたような、
ギャギャギャギャギャギャ ギャギャギャギャギャギャ という連続音。
3頭が部屋の中で鳴き出せば、電話するのが不可能なぐらいの大音量。まるで警報だ。
後ろ脚にはまだ力がなく、足の裏が上を向いている。やわらかな肉球が丸見えだ。
じりじりとゆっくり動くことしかできない。しっぽは短く、なんとなく存在感が薄い。

この子は唯一目が開いていた個体。
成長が一歩進んでいるようで、体重も一番重かった。

行政の担当部署に連絡するも、「幼獣は対応できない。もといた場所に戻すようにとしか言えない」
とのこと。哺乳にしろ鳥にしろ、行政が対応するのは野生復帰の見込みがあるものだけであり、なついて
しまう可能性が高い幼い個体は対応しないことになっているという(自治体によって異なります)。
担当者も本当は救いたいのだろうな、と感じた。
こうなると、選択肢は3つ。
①もといた場所に戻す
②動物園に引きとってもらい、展示動物として生涯飼育する
③自分の手で育て、野生に帰す
①はありえない。明らかに人の手で運ばれ、親と再開できる可能性は極めて低いだろう。
目が開いていない状態では、あっという間に飢えるかカラスの胃の中に収まるかだ。
②は一番無難だろう。動物園なら飼育のプロが揃っている。
しかし、ちょっと待てよ、と思う。アナグマはここでは希少種。
それを3個体も、自分の手で自然界から取り除いてしまうのは非常に面白くない。
それに、そんな理屈抜きにして、実は最初から頭の中では野生に帰したいと思っていた。
ただ、自分のやっている仕事仕事の中でそれが許されるのか、そして技術的に可能なのかというのが問題だった。

ありがたいことに、上司が背中を押してくれた。
仲間も協力してくれる。
行政の担当部署も一時的な飼育を許可してくれた。
こうして、私はアナグマの仮親をすることとなった。

大丈夫、きっと森に帰してやるから。
2013年5月15日
一報を聞いて、少し頭が混乱した。「野生動物を捨てる」ってなんだ?
何かのペットと間違えてるんじゃないか?

しかし駆けつけてみると、それは間違いなくアナグマだった。それも3頭の兄妹。
ダンボールをかぶせられて置かれていたという。

3頭のうち2頭はまだ目が開いていなかった。
狭い箱のなかでくっつけておけばおとなしいが、開けた場所に置いたり、3頭を
引き離すと途端に大声で鳴き出す。それは初めて聞く声だった。

トウキョウダルマガエルの声をキンキンにしたような、
ギャギャギャギャギャギャ ギャギャギャギャギャギャ という連続音。
3頭が部屋の中で鳴き出せば、電話するのが不可能なぐらいの大音量。まるで警報だ。
後ろ脚にはまだ力がなく、足の裏が上を向いている。やわらかな肉球が丸見えだ。
じりじりとゆっくり動くことしかできない。しっぽは短く、なんとなく存在感が薄い。

この子は唯一目が開いていた個体。
成長が一歩進んでいるようで、体重も一番重かった。

行政の担当部署に連絡するも、「幼獣は対応できない。もといた場所に戻すようにとしか言えない」
とのこと。哺乳にしろ鳥にしろ、行政が対応するのは野生復帰の見込みがあるものだけであり、なついて
しまう可能性が高い幼い個体は対応しないことになっているという(自治体によって異なります)。
担当者も本当は救いたいのだろうな、と感じた。
こうなると、選択肢は3つ。
①もといた場所に戻す
②動物園に引きとってもらい、展示動物として生涯飼育する
③自分の手で育て、野生に帰す
①はありえない。明らかに人の手で運ばれ、親と再開できる可能性は極めて低いだろう。
目が開いていない状態では、あっという間に飢えるかカラスの胃の中に収まるかだ。
②は一番無難だろう。動物園なら飼育のプロが揃っている。
しかし、ちょっと待てよ、と思う。アナグマはここでは希少種。
それを3個体も、自分の手で自然界から取り除いてしまうのは非常に面白くない。
それに、そんな理屈抜きにして、実は最初から頭の中では野生に帰したいと思っていた。
ただ、自分のやっている仕事仕事の中でそれが許されるのか、そして技術的に可能なのかというのが問題だった。

ありがたいことに、上司が背中を押してくれた。
仲間も協力してくれる。
行政の担当部署も一時的な飼育を許可してくれた。
こうして、私はアナグマの仮親をすることとなった。

大丈夫、きっと森に帰してやるから。
2013年5月15日
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