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ホトケドジョウ

湧水環境で底生生物調査をしていたら、ホトケドジョウが顔を出してくれた。
せっかく潜水できるカメラを持っているし、水も綺麗なので撮ってみた。
ホトケドジョウ
あいかわらずとぼけた顔をしている。

ホトケドジョウ顔アップ
ドジョウにも鱗があるんだよなあとか、ひげに血管が通っているとか、当たり前のようだけど
普段は考えもしないことにあらためて気付く。

2015年10月20日 東京都
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23:50 | 魚類 | comments (0) | trackbacks (0) | edit | page top↑

絶滅魚クニマスの再発見

今朝のメーリングリストで、絶滅したと考えられていたクニマスが約70年ぶりに発見された、というニュースを知った。たいへん驚くとともに、嬉しいんだけど素直に喜べないような、複雑な気持ちになった。

日本の淡水魚・汽水魚で「絶滅」とされているものは以下の4つ。

・チョウザメ………………………北海道の河川
・スワモロコ(タモロコの亜種)…長野県の諏訪湖
・ミナミトミヨ……………………京都府、兵庫県
・クニマス(ヒメマスの亜種)……秋田県の田沢湖

クニマスは日本で最も深い湖、秋田県の田沢湖のみに生息していた固有亜種である。田沢湖はかつて、摩周湖に迫るほどの透明度(35m以上!)を誇る美しい湖であったらしい。しかし1940年に発電所の建設と農業振興のため、別の水系である玉川の水が導入された。この玉川の水はpH1.1という強酸性であり、生きものが棲まないため「玉川毒水」と呼ばれる。この水が流れ込んだために湖の水質は酸性化し、田沢湖の魚類はほぼ死に絶えたという。透明度も10mまで低下した。現代であれば大規模な反対運動が起きるようなことだが、時は戦前、電源開発等が優先されたのだろう。

その後、田沢湖の水質はpH4.5の酸性を維持していたが、対策として「玉川酸性水中和処理施設」が作られ、その運転によって現在ではpH5を上回るようになっていて、ウグイ・ギンブナ・コイが生息しているとのこと。まあそこそこの成果を上げているようだが、かつての環境には程遠いと思われる。

さて今回、クニマスが発見されたのはこの田沢湖ではない。なんと山梨県の西湖である。歴史を遡ると、1935年に田沢湖からクニマスの卵が10万粒放流されたのだという。つまり国内外来種として、本来の生息地ではないところで生き延びていたわけである。素直に喜べないのはこのため。生物多様性保全の観点から避けるべき行為が、今回は皮肉にもプラスに働いたということになる。


ちょっと余談。
サケ科魚類は川で産卵・孵化するが、その後海や湖に降るか、河川にとどまるかによって生態も形態も大きく変わる。たとえばヤマメとサクラマスは同種だが、見た目はとてもそうは思えない。川と海とを行き来する種の場合、その回遊があまりにも規則的だと、例えば地殻変動や氷河の発達などが起きて流路が変化すると、移動が妨げられて種を存続できなくなる可能性がある。そうなると、海に降下しなくとも小型で成熟したり、成熟時の年齢、大きさが多様であるほうが種や集団の存続に有利だと考えられる。つまりこのような生態・形態の多様さは、生息環境の変動に柔軟に対応するための保険機構だと考えられる。逆に考えると、その種の生態を解明することは、水域の成因や地質的な歴史を紐解くヒントにも成り得ると言えるだろう。学術的にも重要な存在なのである。かくいう田沢湖も、どのようにしてできたのか未だに不明だという。クニマスがそれを解明する鍵を握っていないとも限らない。


閑話休題。
環境省のレッドリストは基本的に5年ごとに改定されるので、順当に行けば次は2012年、クニマスが絶滅のカテゴリーからはずれることになるのだろう。その時の扱いは?自分なら「野生絶滅」とするだろうな。いずれ田沢湖の環境が回復し、西湖から田沢湖へとクニマスが里帰り・定着した暁には、絶滅危惧Ⅰ類にしてもいいと思う。

しかし「酸性水中和処理施設」が無いと維持できない環境なんて、自然ではないし持続可能ではない。本来なら1940年に導入した玉川を本来の流れに戻し、田沢湖への流入を止めるべきだろう。その上で時間をかけて少しずつ環境を回復させ、ようやく西湖からの導入…かなり気の長い計画が必要だろうと思う。でも今回の発見を機に、そのような機運が高まればとても素晴らしいことだ。クニマスの復活は地域活性化にも繋がるだろうし、田沢湖の再生はやる価値がある。今後の動きに期待したい。

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17:01 | 魚類 | comments (2) | trackbacks (0) | edit | page top↑

小網代 晩秋の魚たち 後編

前回の続き。
採れた魚を個別に紹介していこう。

この日、当たりだったのがこのトウゴロウイワシ↓。
イワシというからその仲間かと思いきや、トウゴロウイワシ目というまったく別の仲間。しかし弱くてすぐに死んでしまうところは「鰯」という感じだった(前編の「成果」の写真で腹を見せて浮いているのはみんなコイツである)。
トウゴロウイワシ

どこの干潟でもよく捕れるマハゼ↓。
唐揚げなどにするとおいしいというので、メンバーの一人がお持ち帰り。           人気ブログランキングへ
マハゼ

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15:00 | 魚類 | comments (2) | trackbacks (0) | edit | page top↑

小網代 晩秋の魚たち 前編

11月最後の日曜日、ひさびさに水辺の生きもの遊びをするメンバーが集まった。
職場の同僚4人とともに向かうのは小網代(こあじろ)、三浦半島にある小さな湾だ。

ここの特徴は、小さな湾とそこに流れ込む河川、それらを取り囲むような森が連続した状態で残っていること。そして大きく潮が引けば干潟ができ、アマモ場もある。写真↓は潮が引いていない状態の湾で、奥が湾の出口、手前は流入河川。様々な環境がコンパクトにギュッと詰まっている印象である。
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小網代湾の風景

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23:50 | 魚類 | comments (0) | trackbacks (0) | edit | page top↑

利根川のサケ

今日は職場の同僚3人と利根川まで足を延ばす。彼らは水生生物を専門としていて、よく一緒に魚採りに出かけている仲間。今回の目的はサケを見ることである。
利根大関
川幅いっぱいに陣取る利根大堰 NikonD70s SIGMA17-70mm

利根大堰は首都圏の用水を確保するため、利根川の水を荒川へと導水する施設。巨大な障害物が川を横断しているので、そのままでは魚は川を登ることができない。そこで堰のすみっこに魚道を設けて魚の移動路を確保し、さらにその壁面の一部をガラス張りにして遡上する様子を見学できるようにしている。休日ということもあってか、思った以上に多くの人が見に来ていた。
利根大関内部
遡上するサケを見る家族連れ NikonD70s SIGMA17-70mm

サケも予想より多くの個体が見られた。利根川では今が遡上のピークなのかもしれない。
シロザケ横から
水族館のようにサケを見ることができる NikonD70s SIGMA17-70mm

さて、先ほどからサケサケと書いているが、サケという種名の魚はいない。日本ではサケと言ったら通常シロザケのことを指す。利根川はこのシロザケの遡上に関して、太平洋側の南限にあたっている。稚魚を放流していることもあって、遡上は毎年見られるようだ。
利根大堰の下流でも数匹が泳いでいたが、その体はボロボロ。遡上、他個体との闘争、産卵などで傷ついたか、もしかするとうまく魚道に辿り着けず、堰を乗り越えようとジャンプし続けて疲弊してしまったのかもしれない。
シロザケ自然下
傷ついて体のあちこちが白くなったシロザケ NikonD70s SIGMA17-70mm

シロザケを堪能し昼食にうなぎをいただいた後は、このメンバーお約束のいわゆるガサガサ。今回は利根川の支流である雁行川にて、タモ網によるお魚採りである。採れた魚はアブラハヤ、オイカワ、タモロコ、ヤマメらしき稚魚、ドジョウ、シマドジョウ、ホトケドジョウ、サワガニ、ヤゴ数種。川の規模の割になかなか魚種が豊富だ。同僚のSによると、この場所は里地と山地の境目にあたるのだろうとのこと。うん、確かに魚種は両方にまたがっている感じだ。
ガサガサ成果
ガサガサの成果 NikonD70s SIGMA17-70mm

この時期の日没はとにかく早く、遊ぶ時間は限られていたものの、かなり魚を楽しむことができた。
シロザケについては、これも同僚Sと行った2年前の北海道ツアーでかなりの数を見ているので、そのうちに回顧録としてこのブログ上で紹介したいと思う。
23:57 | 魚類 | comments (2) | trackbacks (0) | edit | page top↑